仮想世界パラノイア

形のいい薄紅色の唇を不快そうに歪め、彼は嘲笑うかのように嗤った。……否、自嘲しているのだろう。彼のアクアマリンの瞳は悲しみとなにかに染まっていた。

「……俺は、恋人を殺したんだ」

この人はなにを言っているのだろうか

「嫉妬が抑えきれなかった。それだけで、俺の魔法は暴走してしまったんだ」
「氷の薔薇があいつの心臓から咲いたんだ」
「それはとても美しくて、残酷だった」

心臓から咲いた氷の薔薇。
なんて惨酷で、背徳に満ちた光景なのだろう。
きっと彼はその光景に見惚れてしまったんだ。
だからこそ、自分を戒めるのだろう。

「そうなりたくないのなら、さっさと帰れ」

パキパキパキっ

彼が指を振るだけで、氷の花が咲く。
この花は紫苑だろうか。美しい

「………さっさとこの森から出ろ」
「でも君が氷魔法を失いたい理由はまだ、」
「俺がこの森の妖精を氷の中に閉じ込めてしまったんだ」
「……え?」