仮想世界パラノイア

「……貴様の名はなんだ?」
「え、ぼ、僕?」
「貴様以外、ここには俺しかいないが」

彼の言うことも最もである。
これ以上機嫌をそこねるのは得策ではないのでちゃっちゃと自己紹介をしよう。

「えっと、隼 湖畔…」
「ほう……貴様が、隼 湖畔か…」
「知っているの?」
「知らん」
「おい」

多分、彼は天然ボケなのだろう。
真顔でボケられるととても困るが。
ミステリアスな容姿が歪である。

「湖畔。早くこの森から出て行くがいい」
「え」
「氷漬けにされたいのなら居てもいいがな」
「……ねえ、もしかして君が」

『この森に異変を起こしたんじゃないの?』
その言葉は彼にも届いただろう。
彼はとても辛そうな顔をしている。

「……氷魔法の制御ができなかった」
「やっぱり……」

氷魔法は水魔法の応用だ。
簡単にマスターできる訳がない。

「……ここの妖精は陽の力を持っている」
「だから、制御できると思ったの?」
「違う。氷魔法を奪って欲しかった」
「……え?」