仮想世界パラノイア

凍りつく木々の間を通り抜けながら、湖畔は考えた。
何故、この森は凍りついているのだろう、と。

森には最低1匹は、妖精が住んでいるはずだ。
妖精が森を守るのだから。
森に異変があれば妖精が異変の根本を消す。
それが妖精の使命である。

だが、 ジェレメフォレストは氷の森ではない。
それに妖精が死んだとは聞いていなかった。

妖精が死ぬことで新たな妖精が生まれるのだ。
そのことは噂となり、人々や獣達の耳に入る。
そうすれば、しばらくの間はその森の付近では争わないのだ。
それが暗黙のルールである。

だが、噂がまだ流れていない。
つまりまだ妖精は生きているのである。
それなのに異変があることはおかしいのだ。


氷で覆われた木々は、見るからに寒そうだ。
夏服の上にローブを着用しただけでは、まだ寒かった。
一気に気温が20度近く下がったのである。

「っ……うわあ、寒い…」

白い息が湖畔の頬を撫ぜる。
まるで冬のようである。