いや、と私は1人で首を振った。
これは確かに盗聴器だ。
だけど同時に、発信機でもあるだろう。
コレがあったからこそ、
私は、監禁場所を発見されたのだ。
あの日。
警察の人は言っていた。
『匿名の人から、住所を知らせる電話が来たのだ』と。
きっとあの匿名の人は、彼だ。
彼がこのストラップに仕込まれた発信機を使い、見つけてくれたんだ。
…本当に彼は、凄い人だと思う。
彼は本当に、私を愛する。
異常だと思うぐらい。
だけど、良いの。
私だって、異常だから。
「…キミ……」
私は静かに呟いた。
そういえば、どこに行ったんだろう?
まぁ、
行き先は大体、わかっているけど……。