「はいはいはいはい!俺も祭り行きたい!!」



目をキラッキラ輝かせながら両手を上げたのは陽で。


彼方と壱さんも「久し振りに良いかも」と頷いている。


けど、問題はこの二人。



「面倒くせぇ」

「面倒くせぇ」



またまた示し合わせたかの様にそう言った大魔王と悪魔にムッと眉を潜める。



「えー、皆で行こうよー」



腕を引っ張ってそう言うけど、十夜は無視。



むー、何よ!お祭りぐらい良いじゃん!


せっかく真紀さんから浴衣貰ったのにさ。




──そう。

帰り真紀さんに呼び止められたのは浴衣の事で。


ママから浴衣を預かってるから取りに来てと言いに来てくれたのだ。




あたしのママは大の浴衣好きで、毎年新しい浴衣を買ってくれる。


今年は外国に行って居ないから無いだろうなと思っていたけど、どうやら真紀さんが預かってくれていたらしい。


今年の浴衣は真紀さんの友達がデザインした物なんだとか。



あーあ、皆に浴衣見せたかったのになぁ……。



「凛音ちゃん」

「うん?」

「あのね……」



しょんぼり肩を落としているあたしを見兼ねた壱さんが、傍に寄って来てコソッと祭りに行きたくない理由を教えてくれた。



「あー、そうだったんだぁ……」



壱さんの説明によると、二年前、幹部の皆で行ったお祭りで揉みくちゃにされたらしく、それが嫌でお祭りには行かないと決めたらしい。


学校での様子を知ってるあたしからすればその理由で納得せざるを得なく。


それだったら仕方ないかな、と諦めがついた。