振り返らなくても大体は予想つくけど。
だって、この角度で背中押せる人って隣にいる十夜しか居ないし。
「十夜!押したら危ないでしょ!」
「……知らね」
「む」
フイッとそっぽを向いて知らん振りをする十夜に不覚にもときめいてしまったあたし。
「も、もう。十夜も食べたいならあげるから。はい、どーぞ!」
さっき彼方にしたのと同様に十夜へとスプーンを向けると。
「へ?」
それを受け取った十夜は何故かあたしの方へとスプーンを差し向けてきた。
え、これってどういう事?
「ん」
いや、ん、って言われましても。
……っていうか、もしかしてこれって“あーん”?
え、あたしが十夜に「あーん」して貰うの?
嘘。そんな夢みたいな事して貰っちゃっていいの!?
想像(妄想)でいっぱいになったあたしの頭は最早手遅れで。
この機を逃したら一生して貰えないかもしれない。
そう思った時にはもう「あーん」と口を開けていた。
けど。
「あー………ん!?」
もう少しで口に入る、いう所でサッと引っ込んでしまったスプーン。
「あー!」
次の瞬間にはアイスが乗ったスプーンは十夜の口の中へと消えていて。
「嵌められたー!!」
「ブハッ……!」
あたしの雄叫びと周りの吹き出す声が重なった。


