……よし、無視しよう。
わざわざ罠に引っ掛かる必要ないしね。
って事で凛音ちゃんは逃げる!!
敵(車)の左側を走り抜けようと猛ダッシュすると。
「オーイ、そこのお姉さん。俺とお茶しなーい?」
ちょうど助手席の真横に来た時、窓が開いた。
声を掛けてきたのは勿論煌で。
「……しません」
「妄想馬鹿女、いいから乗れ」
「……はい」
一変した煌の声色に三秒で撃沈した可哀想なあたし。
あぅ……。こんな恐ろしい魔の領域入りたくないんですけど。
車内に大魔王と悪魔が居ると思うと何だか気分が悪くなってきた。
あー、逃げたい、今すぐ逃げたい。
けど、逃げたら更に恐いおしおきが待ってそうだし……。
あぁー、どうしよう!
「凛音」
「ん?」
往生際が悪いあたしを見兼ねたのか、親指で後ろを指差す煌。
それに導かれて視線を後ろへと流せば。
……うそーん。
「──乗れ」
いつの間にか開いていた後部座席の窓から大魔王様直々にご命令が。
……うぅ。
逃げられないと観念したあたしは、ゆっくりとドアを開けてこの身を差し出す事にした。
それからの車内の空気は凄まじく。
大魔王のブラックオーラと悪魔のエセ笑いで気が狂いそうになったあたしは、朝と同様、狸寝入りを開始。
早く溜まり場に着いてくれと心の底から願った。


