無事校舎に入ったあたし達は、はぁ、と溜め息を吐いて、その場で一旦停止。


ある程度息を整えた後、再び陽と一緒に歩き出す。



「凛音、お前何したんだよ?」



階段を上がりながら訝しげにそう聞いてきた陽に、「うーん」とこめかみをポリポリ掻く。



「いやぁ~、十夜はあたしが寝ちゃったから怒ってて、煌は頭突きかましたから怒ってる」

「はぁ?」



お前、何言ってんだ?と不思議そうに見てくる陽に、あははと苦笑。


そりゃそうだよね。

そんな説明じゃ分かる訳ないか。



「まぁ、話せば長くなるからまた説明するよ」



話すと長いし。


十夜はともかく、煌の頭突きに関しては最初から話さなきゃいけないしね。



「よく分かんねぇけどまぁ良いや」



あっさりと引いてくれた陽は、「今日のお昼何食おっかなー」と早くもお昼ご飯の事を考えていて。


あの二人も陽みたいにやりやすかったら良いのにな、としみじみそう思った。


……のがいけなかったのだろうか。



「うわっ!危ねっ!凛音、下見て歩けって!」



最後の最後で躓いてしまい、転けそうになったあたしを陽が慌てて引っ張ってくれた。