「やだ!離して!十夜!煌!」
喧嘩中の二人に向かって助けを請う。
鳳皇を抜けると言っときながら都合のいい時には助けを求めるなんて最低だ。
でも、どうしても中田とだけは行きたくなかった。
──中田とだけは。
「──テメェ、その手離せや」
………え?
頭上から降ってきたその声にハタッと動きが止まった。
だって、その声は聞き知った声だったから。
直ぐ様顔を上げれば、そこに居たのはなんと雷さんで。
「雷さん!?」
「雷皇!?」
雷さんは普段では考えられないぐらい険しい顔で中田を睨んでいた。
何で雷さんまで!?
「離せって言ってんのが聞こえねぇのかよ。早く離せや!!」
あたしが言われている訳ではないのにビクッと揺れる身体。
だってこの気迫、いつもの雷さんからは想像もつかなかったから。
「……チッ」
舌打ちと共にするりと離された腕。
離れると直ぐに腕を引かれ、雷さんの胸の中に納まった。
「雷皇まで出て来るとはな。仕方ねぇ、今回は諦めてやるよ」
「二度と来んじゃねぇ」
「ハッ。アンタに用はねぇよ」
「あ”?」
「──凛音」
「………」
雷さんの威嚇を無視した中田があたしを呼ぶ。
「お前は自分から離れる事になるよ」
………え?
「……っ、中田!!」
踵を返して立ち去ろうとする中田を直ぐ様呼び止めるけど、中田は肩越しに振り返り、笑みを深めるだけで立ち止まろうとはしなかった。
……今の、どういう意味?


