「中田、ソイツ離せ」
「おっと。その女は俺らのモンだ。渡さねぇよ。───中田、お前にもだ」
十夜と中田の前に割り込んでくる赤髪の男。
男は中田に一睨みした後、十夜に的を絞った。
「総長さんも馬鹿だねぇ。一人で来るなんてさ。殺って下さいって言ってるようなもんだぜ?」
「一人じゃねぇよ」
「……あ”?」
男の言葉に応えたのは十夜ではなく別の男で。
その男は十夜の背後から姿を現した。
「……有り得ない」
薄暗がりの中姿を現したのは、出掛けて行った煌で。
それはもう大魔王十夜を凌ぐ程禍々しいオーラを放ちながらあたしを睨んでいた。
「……何で煌が此処に居るの?」
煌の出現に思わず後退するあたし。
すると、あたしの声が聞こえたのか、煌があたしに視線を向けてきた。
「……凛音、お前後で覚えてろよ?」
ひぃぃぃぃぃ!
目が合うなり死刑宣告をされ、凛音ちゃん撃沈。
あぅ……。敵がまた一人増えたよ。
もう帰りたい……。
そんな切実な願いは叶う筈もなく、またもや口喧嘩が再開した。
「一人増えた所で変わらねぇよ」
赤髪の男が煌を見て、そう吐き捨てる。
「黙ってろ。テメェに用はねぇ」
煌の代わりに口を開いたのは十夜で。
男を一瞥した後、あたしを見た。
その目は“逃げんじゃねぇぞ”と言ってる様で、ゴクリ、喉が鳴った。
……やっぱり、用があるのはあたしにですよね。
帰りたい。
マジで帰りたい。
出来れば今すぐに。


