「絶対にアンタの所まで行ってやる」
「ハハハッ!そりゃ光栄だねぇ」
──まぁ、頑張れよ。
そう言った所で、男がいきなり笑うのを止めた。
愉快げな表情から一変し、化け物でも見たような顔であたしの背後を見る赤髪の男。
……何?
よく見ると、周りに居る男達もあたしの後方を見て驚いていた。
背後が気になって、あたしもゆっくりと振り返る。
「………っ」
すると、パーキングの入り口に立っていたのは鳳皇の総長である十夜で。
「何で……」
嘘でしょ?
何で十夜が此処に……。
肩で息をしている十夜はどこも怪我などしていなくて。
その姿を見た瞬間、良かった、と安堵の溜め息を零した。
「……っ」
──けれど、それも束の間。
直ぐにまた心拍数が跳ね上がった。
理由は簡単。
十夜の視線が、あたしを真っ直ぐ捉えていたから。
……怒ってる。
あれは絶対怒ってる。
一目で分かる程怒りのオーラを身に纏っている十夜さんはどこからどう見ても怒っていて。
その怒りは真っ直ぐあたしに向けられていた。
当然だよね。
だって、十夜の声を振り切って逃げたのだから。
……っていうか、もしかしてあたし、敵増えちゃった?
いや、冗談じゃなくマジで。
だって、凄い睨まれてるし。
十夜の視線が恐すぎて思わず一歩下がるあたし。
後ろにも敵、前にも敵。
逃げ場がないんですけど。
そう思った時、突然腕を引っ張られて。
気付いた時にはもう誰かに受け止められていた。
「……中田?」
振り返ると、そこに居たのは中田で。
……忘れてた。中田の存在忘れてたよ。
赤髪の男と十夜、そして中田。
増えまくる敵に眩暈がした。
あぁ……もう、やだ。
どうしたらいいの。


