あとの二人は千暁くんに馬乗りになっていて、千暁くんは気絶しているのかピクリとも動いていなかった。
「千暁くんの上から退いて。喧嘩したいんならあたしが相手してあげる」
「………っ」
睨みを利かせながら男達に近付けば、男達はあたしの周りに転がっている仲間を見て悔しそうに唇を噛み締めた。
威嚇しながら千暁くんから離れる男達。
「やるの?やらないの?」
そう問いかければ、応えたのは目の前に居る二人じゃなく、背後に居た赤髪の男で。
「こっちへ来い!」
男の指示で慌てて走っていく黒烏の下っ端達。
それを視界の端で捉えながら、あたしはグッタリとしている千暁くんの元へと駆け寄った。
「千暁くん!千暁くん大丈夫!?」
どうやら殴られすぎて気絶してしまったらしい。
「千暁くん、ごめんなさい……」
動かない千暁くんを強く抱き締め、何度も何度も謝罪を繰り返す。
……ごめんなさい。あたしのせいでこんな目に合わせてしまって。
「──お前、何者だよ」
耳に届いた訝しげな声に顔を上げれば、は探るような目であたしを見ている赤髪の男。
その目に思わずハッと鼻で笑ってしまった。
「何者ってただの女子高生だけど?」
「ただの女子高生がこんなに強ぇ訳ねぇだろ」
「………」
そんな事言われてもね。
「でも残念だったな。さすがにこの人数は相手出来ねぇだろ?」
その言葉で後ろを振り返ると、
「……っ、なんで……」
そこには、何十人もの男達がニヤついた顔で立っていた。


