Ri.Night Ⅱ





「十夜、煌、逃げるぞ」


力強い声でそう言った彼方が十夜と煌の腕を掴んだ。


そして、壱さんと目配せをして、出入り口付近に居た千暁くんと勇介くんに向かって「陽を頼む!」と叫ぶ。


その命令に慌てて駆け寄ってくる二人。



「彼方離せ!!」


「アイツを連れ戻さねぇのかよ!!」



暴れる十夜と煌を彼方と壱さんが必死に押さえ込む。




「十夜!煌!りっちゃんは来ない!」


「俺だって連れ戻したいけど凛音ちゃんはもう決心してるんだ!お前等にもそれぐらい分かるだろ!捕まったら元も子もないんだよ!」




……壱さん、彼方、ありがとう。


あたしの事、分かってくれてありがとう。





「みんな」


そう小さく呟くと、暴れていた十夜達が動くのを止めてあたしを見た。



「ごめんね。ありがとう………」



“バイバイ”



そう声を出さずに口の動きだけで伝えたあたしに、十夜と煌の目が見開いた。




声に出して言いたかったけど、どんなに頑張っても無理だった。


バイバイなんて、声に出して言えない。


言いたくないよ。





溢れそうになる涙を必死で堪え、ゆっくりと振り返る。


途中、千暁くんと勇介くんに寄り掛かる陽と目が合って、涙が零れ落ちそうになった。



「……陽、ごめんね。あたしが悪いのに手当て出来なくてごめん」



唇が震えて、上手く言葉にならない。



「本当に……ごめんね」


これ以上陽の顔を見ると行けなくなっちゃうから、直ぐに目を逸らして歩き出す。