本当はこの手を振り払って十夜の元へ行きたい。
皆の元へ帰りたい。
けど、それは出来ない。
もうこれ以上皆に隠し事出来ないから。
もう、騙したくないから。
貴兄と優音にもこれ以上哀しい想いをさせなくない。
だから、離れるって決心した。
これは自分で決めたこと。
「凛音……」
「──優、行くぞ」
優音の所まで戻ってくると、貴兄は優音に声をかけてそのまま止まる事なく歩いていく。
「ちょっと待って。お願い」
無理矢理足を止めて、掴まれてる腕を手前に引き寄せる。
そんなあたしを肩越しに見下ろした貴兄は、掴んでいたあたしの腕をそっと離して背を向けた。
貴兄、ありがとう。
その場で振り返って、数メートル先に居る十夜達を見つめる。
何故だろう。
直ぐ傍に居るのに十夜達が物凄く遠く感じる。
手を伸ばしても絶対に届かないような、そんな奇妙な感覚があたしを襲う。
「……皆、ごめんね。一緒に帰れなくてごめん。自分勝手で本当にごめんなさい」
口から出るのは、そんなありきたりな謝罪の言葉。
でも、これがあたしの本心なんだ。
皆への最後の言葉。
「……迎えに来てくれてありがとう」
「……っ、」
「助けに来てくれて、ありがとう」
駄目だ。泣いちゃ駄目。
「今まで、仲良くしてくれてありがとう」
そう思うのに、視界がユラユラ揺れて十夜達の姿がハッキリ見えない。


