「やめて!やめて二人共!!」
どんどんエスカレートしていく二人の喧嘩。
その激しい攻防に誰も手を出すことが出来なかった。
目にも止まらぬ速さで繰り出される拳と、それを回避するしなやかな身体。
無駄のないその動きに、見ている者達は喉を鳴らさずにはいられなかった。
「やめ──」
「アイツ……」
止めようとするあたしの言葉を遮ったのは優音の声。
見上げれば、優音は険しい表情で二人を見ていて。
その鋭い視線に今、優音が考えている事が分かった。
優音は多分、十夜の強さに驚いてるんだと思う。
S県では“敵無し”と言われている獅鷹総長。
その獅鷹総長を優音はずっと見てきた。
だから、信じられないんだろう。
獅鷹総長と同等に戦うという事が。
けど、今は十夜の強さに感心してる場合じゃない。
早く二人を止めないと。
あたしはこれ以上二人に喧嘩して欲しくない。
この喧嘩が自分のせいだって分かってるから余計に。
「止めとけ」
「……っ!」
駆け出そうとするあたしを、逃がさないと言わんばかりに抱き締める優音。
「離して!止めなきゃいけないの!二人を止めなきゃ!!」
こんな所で傍観してる場合じゃないの!
誰かが止めなきゃいつまで経っても終わらない。
二人の力を見たのなら優音も分かってる筈だ。
それなのに何で止めようとしないの!?


