離れたくない。
離れたくないよ。
十夜と離れたくない。
心の中でそう呟けば呟くほど十夜への想いが膨らんでいって、胸が締め付けられる。
苦しいよ。
苦しい。
あたしはこれから、こんあな“想い”を抱えていかなきゃいけないの?
この想いを心の奥底に閉じ込めておかなきゃいけないの?
そんなの、あたしに堪えられる……?
「……っ」
ううん。違う。
耐えなきゃいけないんだ。
これは自分が決めたこと。
貴兄にバレたら大人しく帰るって、鳳皇と獅鷹の関係を知った時自分で決めた事なんだ。
だから。
「ごめんね……」
零れ落ちそうになる涙を必死で堪えながら、皆に謝罪の言葉を伝える。
──別れる前に言わなきゃいけない事がある。
“助けに来てくれてありがとう”
“貴兄達の事、隠しててごめんなさい”
“一緒に帰れなくてごめんなさい”
“今まで、ありがとう”
沢山の“ありがとう”と“ごめんなさい”が頭の中で渦巻いて。
それを皆に伝えようと口を開くけど、唇が震えて何も言えない。
きっと、心のどこかで分かってるんだと思う。
謝れば謝るほど、皆から遠ざかって行くことを。
でも、それでも言わなきゃいけない。
十夜達と、鳳皇と“さよなら”する為に。
「あたし──」
「凛音、来い」
消え入りそうなあたしの声を遮ったのは、十夜の力強い声と漆黒の瞳。
その輝きに満ちた瞳が、あたしを逃がさないとでも言うように捕らえた。


