「優、片付けろ」
「了解」
返事をするや否や掴んでいる腕を払い除け、前へと動いた優音。
「……っ」
ゴスッと鈍い音が響いて、男が膝を突いて真横に倒れる。
それを見届けた貴兄は、ゆっくりとあたし達の方へと歩み寄ってきた。
「凛音」
「……っ」
あたしを見つめる無機質な瞳。
その瞳に自分の末路を悟った。
……やだ。
嫌だよ。
嫌だ。
頭を振って力一杯拒否するけれど、頭の中では分かっていた。
その願いが叶う事はないと。
分かっていたけど、従いたくなかった。
あたしは皆と一緒にいたい。
十夜と一緒にいたい。
鳳皇にいたい。
でも、貴兄に知られてしまった以上、鳳皇には居られない。
行きたくないと言った所で、貴兄が受け入れてくれるとは思わないから。
だけど。
「凛音」
頭を振るのを止められなかった。
だって、止めたら行かなきゃいけないから。
皆と離れなきゃいけないから。
そんなの嫌だ。
行きたくない。
皆から離れたくない。
離れたくないよ……!


