Ri.Night Ⅱ



「立てよ」


乱れた服を直しながらそう言った十夜の足取りは軽やかで。


さっきの乱撃がまるで幻だったかの様に平然としていた。


そんな十夜に対し、蹲ったままの中田は何も言わなければ顔も上げない。


そんなに十夜の一発が効いたのだろうか。







「もう終わりか?」



そう投げ掛けた十夜が中田の前で立ち止まった時、



「一発返したぐらいでイイ気になるんじゃねぇよ!!」



その叫びと共に中田が弾ける様に跳躍した。


「……っ!」


それを見て、何故中田が微動だにしなかったか分かった。


中田は不意打ちを狙っていたんだ。


限界まで相手を引き寄せ、テリトリーに入った所へ拳を突きつける。


それが中田の作戦だった。



だげど──





「一発じゃねぇよ。これから先、お前の拳が俺に当たることはない」




そんなもの、十夜には効かなかった。



中田の攻撃をひらりひらりと軽やかに交わし、隙を見て一撃。


バランスを崩した所でまた一撃。


その攻撃は中田の得意とするボクシングによく似ていた。