Ri.Night Ⅱ


「フッ。余裕なのは今の内だけだぜ?」



そう言うや否や地面を蹴り上げた中田は、十夜との距離を一瞬にして縮めた。


十夜の左頬目掛けて振り下ろされる拳。


十夜はそれを完璧に見切っていて、直ぐ様上半身を折り曲げて回避する。



「──馬鹿が。拳だけだと思うなよ」



十夜の真上で空を切ったかと思えば、次の瞬間には地面を離れていた左足。


それは、中腰になっている十夜の右前頭部にクリーンヒットした。



「十夜!!」


衝撃で右へと傾く十夜の身体。


だが、そこは鳳皇の総長。


倒れると見せかけて地面にトンッと手をつき、軽やかに身体を回転させた後、その勢いを利用して立ち上がった。







「……ハッ。流石だな。まさか跳んで衝撃を和らげるとは」



足を下ろした中田が、嫌味ったらしく手を叩いてみせる。


此処からじゃハッキリと見えなかったけど、どうやら十夜は蹴られる前に跳んで衝撃を緩和していたらしい。


それなら直ぐに立ち上がったのも頷ける。







「──もう終わりか?」



おもむろに顔を上げたかと思えば、更に挑発を繰り返す十夜。


その挑発にまんまと引っかかった中田は、表情を一変させると、



「そんなに殴られてぇなら殴ってやるよ!」



言い終わらぬ内に十夜に飛びかかった。