十夜、十夜……。
何度も何度も心の中で十夜を呼んで、皆の元へ帰りたいと懇願する。
なんでこんな目に合わなきゃいけないの?
なんで、皆が喧嘩しなきゃいけないの?
もう嫌だよ。
早く帰りたい。
早く皆の元へ帰りたい。
皆と一緒に帰りたい。
そう願った時、十夜の口元が微かに動いた気がして、小さく首を傾げた。
零れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、十夜に向けて“分からない”と首を振る。
すると、十夜はもう一度口を開いた。
「……っ、十夜……!」
今度はハッキリと分かった。
“待ってろ。すぐ行く”
十夜は確かにそう言った。
「十夜……」
うん、待ってる。
待ってるから早く来て。
返事の代わりに頷けば、十夜はあたしから視線を外し、再び中田へと視線を移した。
中田と目を合わせた十夜は既に総長の顔に戻っていて、射殺さんばかりに中田を睨み付けている。
「──中田。お前は俺等の大切な仲間を傷つけた。絶対に許さねぇ」
唸るように発せられたその言葉に、bladeの下っ端達がゴクリと喉を鳴らす。
一方、中田はと言えば……。
「許さない?……ハッ。その人数でどうやって勝つ気だ?」
余裕綽々と言った表情で笑っていた。


