「……っ、凛音!逃げろ!!」


「え?」


突然そう叫ばれて、顔を上げる。


すると、十夜はあたしではなくあたしの後ろを見ていて。



「──凛音。なんで大人しくしない?」


「……っ」



その声に、十夜が誰を見ていたのか解った。



「……っ中田!」



瞬時に振り返ったけど、その時には既に遅く。

両腕を拘束されて引き摺られる。



「……っ、やだっ!離して!」



腕を自分の方へと引き寄せるけど、いくら引っ張っても中田の力は強くなるばかりで離してはくれない。




「凛音!!」

「クソッ……!テメェ、凛音を離せや!!」

「凛音ちゃん!!」



口々にあたしを呼ぶ皆。


その声に応えようと振り返ると、皆はbladeの下っ端に押さえ付けられていてどうにも出来ない状態だった。


一人なら未だしも、数人に押さえられたら簡単には抜け出せない。



「離してってば!!」


手を振り解こうと身体を左右に振って暴れると、より一層掴まれる力が強くなって。


「ジッとしてろっ!オイ!!」


そればかりか、周囲に居た数人の男達に両肩までも押さえ込まれてしまった。


「い……っ!」



悔しい。

何も出来ないのが悔しい。


今すぐ皆の所へ行きたいのに!



「離して!!」



嫌だ。


嫌だ。


「みんな……っ!!」