「りっちゃん!」

「凛音ちゃん!」


「……っ、壱さん!彼方!」


階段の死角から走ってきたのは壱さんと彼方。


見た所二人に怪我はなさそうだけど、顔や服が所々薄汚れている。



「壱さん!彼方!大丈夫!?」


「俺等は大丈夫だ!っていうか、りっちゃん捕まってたんじゃないのかよ!?」


「さっきまで捕まって──」


「凛音!テメェ、何脱走してんだよ!!」


「はぁ?」



煌の奴、今何て言った?



「お前が出てきたら助けに来た意味ねぇだろうが!!」


「……は?」


何言ってんの?


「敵を倒してから助けに行くのが一番カッコいいだろうが!!」


「は?はぁぁぁぁぁぁ!?」


さっきよりさらに意味不明なその発言に、思わず階段からずり落ちそうになった。



あ、アホかー!!

アンタ、何意味分かんない事言ってんの!?


あたしがあんなに必死になって脱走してきたのに、それを『脱走するなよ』って言いやがった!!


コイツ、人の苦労を何だと思ってんだ!!