「……第一、倉庫?」


「そうだ。此処は港にある工場地帯の一角。最近潰れたばかりの工場だよ。この倉庫は第一倉庫。倉庫は全部合わせて八つある」


「………」


「さて、凛音チャン問題だ。

俺はお前が居るのが第“何”倉庫なのか桐谷達には言っていない。この意味が分かるか?」



第何倉庫か言っていない?



「どういう事?」


「分からないか?」



何?何が言いたいの?



「凛音、俺は第八倉庫“全部”に人員を配置したんだよ。

それがどういう事か分かるか?」


「……分からない」


「そうだな。一つの倉庫に敵が大勢いるとどう思う?」



一つの倉庫に敵が大勢?



「此処に“人質”がいる。そう思わないか?」


「……っ、」


「もし、その倉庫内全員が殺られてもまだ倉庫は七つある。この第一倉庫は道路から入って一番奥。さぁて、奴等は無事ココまで辿り着けるかな?」


「アンタ……」


「奴等にも限界というものがある。鳳皇は此処で終わりだ」



そう言った中田は、フッと鼻で笑った後「大人しくしてろ」と言って開けっぱなしにしていたドアから出て行ってしまった。