それから暫く沈黙が続き、ウンザリしていた頃。
ドアからコンコンと控えめなノックの音が響いた。
「入れ」
その言葉に直ぐに開いたドア。
そこら入ってきたのは背の高い見知らぬ男で。
男はその場で中田に一礼すると、静かに口を開いた。
「中田さん、○○交差点で鳳皇を確認。あと五分足らずで此処に到着します」
「……っ」
男のその言葉に鼓動が大きく飛び跳ねる。
今、十夜達が此処へ来るって言った?
「分かった。すぐ行く」
そう返事した中田に男は軽く一礼すると、ドアを開けたまま部屋から出て行った。
男の姿が消えるや否やソファーから立ち上がった中田。
そのまま窓へ近付いていくと、
「潰されに来たか」
そう小さく呟いて、フッと鼻で笑った。
その言葉にカッとなったあたしは勢いよく立ち上がる。
「アンタなんかに鳳皇は絶対負けない!!潰されるのはアンタなんだから!!」
そう叫ぶと、中田はゆっくりと振り返り、にたりと口角を引き上げた。
その余裕綽々とでも言いたげな表情に、あたしは悔しさの余り血が出るぐらい強く下唇を噛み締める。
「凛音、なんで俺が今日、お前を攫ったのか分かるか?」


