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「コラー!!此処から出せー!!」



これでもかっていうぐらい大声で叫びながら、部屋のドア蹴りまくること早五分。


いくら体力が有り余ってると言っても、ずっと蹴りっぱなしっていうのは流石に疲れてきて、休憩しよう、とその場に腰を下ろした。


くっそー!手さえ縛られてなきゃどうにか出来たのに!


まだ目が覚めて十分も経っていないのに、早くもバテバテなあたし。



はぁ……何でこんな事に……。






あれからどれぐらいの時間が経ったのだろうか。


窓の外を見てもまだ日は沈んでいないから、そんなに経ってない筈。




あたしが目覚めたのは、綺麗という訳でも汚いという訳でもない、例えるなら会社の事務所みたいな部屋の中だった。


室内にはあたし一人しかなく、手は後ろで縛られていて。

一緒に攫われた筈の陽は何処にもいなかった。



陽、何処に居るの?

無事なの?



「陽……」



全部、あたしのせいだ。


あたしのせいで陽が捕まってしまった。


巻き込んで、ごめん。


ごめんね。陽。