────…


フフフーン。

終わったー。終わったよー。

やっと授業終わったよーん!


……って事は?


ってこ・と・は?


むふふふふふ……。


待ちに待った十夜との放課後デートだー!



むふ。

駄目だ。ニヤけが止まらない。





「りーのー」


十夜との放課後デートを想像(妄想)していると、前の席の陽が振り返ってきた。


「んー?」


その呼び掛けに、教科書を鞄にしまいながら返事をする。


「顔怖い」

「は?」


ちょっと陽くん。いくらあたしが陽くんに甘いと言ってもその発言は許せないぞ。


「り、凛音、顔怖いって言ってもいつもじゃねぇからな?今だけだから!!」


それ、全然フォローになってないですけど。


「ホントごめんって!あっ、そう言えば早く行かなきゃマズイんじゃねぇの!?」

「あ」



そうだよ。言い合いしてる場合じゃないよ。十夜が待ってるんだった!



「陽、行こう!」

「おう!」

「あ、ちょっと待って」


机に置いてあったスマホを手に取ろうとした時、突然光ったスマホの画面。


サイレントにしているせいで音は聞こえないけど、画面には着信を知らせるイラストがチカチカ点滅していて、十夜かな?と立ち止まる。


名前を確認すると、着信は十夜ではなく貴兄からで。


それを見た途端、サーッと血の気が引いていった。


ヤバイ。かけ直そうと思ってて、そのまま忘れてた!


昨日から何度も入っていた貴兄からの電話。


流石に十夜達の前では出れないから、学校でかけようと思って放置してたんだけど、すっかり忘れてたよ。



チラッと陽の顔を見る。


陽なら大丈夫だよね?


「陽、ちょっと待ってて」

「ほーい」


ごめん、と陽に手を合わせて、ダイヤルボタンをスライドさせる。