ドアを閉めて壱さんに手を合わせると、壱さんは小さく首を振ってドアをロックし、煌と一緒に歩いて行く。



「じゃあまた放課後ね?」


校門まで別々に行く十夜とは此処でお別れ。


いつものように手を振って先に歩き出すと、振り返ってすぐに腕を引かれた。


「……っ、十夜?」


ビックリして足を止めれば、振り返るよりも先に後ろから抱き締められて、ぎゅっと強く肩を掴まれる。


「……悪い」


驚きすぎて何の言葉も出てこないあたしに降ってきたのは、抑揚のない小さな声。


ほんの一瞬とも言えるそれに何の反応も出来なくて。

気付けば身体を離され、先に行く様背中を押された。



どうしたんだろう?

十夜が突然こんな事するなんて珍しいから戸惑う。



「……十夜?」


数歩進んだ所で振り返るけど、十夜からは何の返答もなく。

それどころか、下を向いたまま目も合わせてくれない。


ま、いっか。


聞くのを諦めて、校門で待ってる筈の陽の元へと小走りで走っていく。


途中、壱さんと煌に口パクでバイバイと言って、陽に「おはよー!」と手を振った。