「え、あたし彼方に肩借りてたの!?」
初耳なんですけど!
「凛音ちゃん爆睡してたからね。でも大丈夫だよ。すぐ十──」
「壱」
「あ、ごめんごめん」
だから、さっきからその意味深なやり取り止めて貰えますか。
あたしだけ仲間外れみたいじゃんか。
いつも以上にニコニコな壱さんは未だしも、隣の総長様は何でそんなに機嫌が悪いのか分からない。
どうせ、聞いた所で教えてくれないんだろうけど。
「凛音ちゃん昨日頑張ったもんね。疲れて寝ちゃうのは仕方ないよ」
「そうだよ壱さん!あたし頑張ったと思わない!?」
あのバイクの大群から逃げ切ったんだから!
まぁ、運転したのは彼方だけど。
「うん。あんなに見事な股間蹴りは初めて見たよ」
ちょ、
「駄目ー!!」
「おまっ……!うるせぇ!」
あたしの絶叫に両耳を塞ぎながら振り返る煌は放っておいて、壱さんに向けてブンブン手を振る。
「壱さんが“股間”なんて言っちゃ駄目!!」
「って、そこかよっ!!」
「あははははは!」
「面白くねぇだろ!!」
「ママ~、あんまり怒るとシワ増えるよ~?」
「ママじゃねぇ!俺は……ってこのくだりもういいわ!!ったく馬鹿女!お前は大人しく彼方に返信でもしてろ!」
「何よ!煌なんかシワシワになってファン減っちゃえ!フンッ!!」
「俺はしわくちゃでもモテんだよ!」
「………」
「ってツッコめよ!」
フンッ。誰がツッコむか。煌なんか無視だ無視。
壱さんと話してたのに、何でいつも割り込んで来るのよ。
これ以上付き合ってられない、と座席に深く凭れたあたしは、彼方に返信しようと座席の上に置いたスマホを手に取った。


