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夢を見た。


鳳皇と獅鷹が一緒に暴走する夢。


本当の仲間のように笑い合いながら走っている。


そんな皆に心が温かくなって。


この夢がずっと続けば良いのにって、本気でそう思った。





“凛音”



十夜が、呼んでる。



“凛音”



あたしに、手を差し出してる。



「とお、や……?」


その手にそっと右手を乗せれば……。


「──凛音」


十夜が呆れた顔であたしを見下ろしていた。



なんでそんな顔してるの……?


さっきみたいに笑ってよ。


ねぇ。



「話し、聞くんじゃねぇのかよ」


「……はな……し?」



そんな事、言ってたっけ?



「寝てんじゃねーよ」


そっと頬に触れた温かい感触に、瞑ったばかりの目を再び開ける。



寝てる……って、あたし、寝てたの?


そう思っている今も意識は朦朧としていて。

身体が宙に浮いてるかのようにふわふわしている。



「……凛音」


「……ん」


小さく返事をすると、頬にあった温かい感触がゆっくりと頭へと移動して、慈しむように優しく撫でられた。

それが余計にあたしの意識を奪っていって、意識がまた遠ざかっていく。



「凛音、風邪引くぞ。ベッドで寝ろよ」



眠気を誘う優しい声色。


その声を聞いて思った。

あ、これも夢なんだなって。



夢だったら少しぐらい我が儘言ってもいいよね?


そう思ったあたしは、起きてたら絶対言わないような事を口にした。



「……十夜、抱っこ」