「十夜、出たよ~。十夜入って~」


お風呂から出て、リビングで寛いでいる十夜に声をかける。


十夜はソファーに座ってバイク雑誌を見ていて、「あぁ」と返事をすると、雑誌をテーブルの上に置いてお風呂場へと消えていった。


それを見届けたあたしはダッシュで冷蔵庫へと行き、扉を開けてビールを取り出す。


そして、プルタブを開けて一気飲み。



「ぷはーっ、んまいっ!やっぱ風呂上がりにはビールだね!」


久しぶりのビールに感嘆の声を上げて、そのまま最後までグビグビと飲み干す。


よし、これで完了!


計画通りにビールを飲み終えたあたしはソファーへと腰を下ろすと、ゴロンと横になった。


ビール好きなんだけど、一本飲んだらすぐ眠たくなっちゃうから普段はあまり飲まない。


けど、今日は別。

今日は酔う為に飲んだ。


十夜と二人っきりなんて、酔わないと無理だし。



今まで何度も泊まったから今更と言えば今更なんだけど。


でも、今までは寝落ちしたあたしを十夜が寝室に寝かせてくれてたから、こんな風に緊張する事はなかった。


ベッドは一つしかないから、寝る時一緒にベッドに入るって事だよね?


朝起きて一緒に寝てたのと、一緒に寝にベッドに入るのとでは気持ちの持ちようが違うと言うか……。


取り敢えず、素面では無理って事で、お酒の力を借りる事にした。