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「オラァー!」

「来いやぁー!!」



敵地に着き、出入口であろう壁からぴょこんと頭を出すあたしと陽きゅん。



……あれ?此処の倉庫、建物の前に広場があるんだ。珍しい。



鳳皇の倉庫と少し風貌の違う此処の倉庫は、建物まで少し距離があって広い。


そのせいか、喧嘩は建物の中ではなくその広場で行われていた。



……っていうか、この光景悲惨すぎない?



目の前に広がる光景に、思わず顔を見合わせたあたしと陽きゅん。


これはもしかして来るの遅すぎた感じ?


明らかに抗争の終盤に差し掛かっているのが見て取れて、ガックリと項垂れる。


屍と化した黒烏メンバーをそのまま放置し、中央に集合する鳳皇メンバー達。



「陽さんや」


「何だね、凛音さん」


「これ、もう終わりじゃありませんかい」


「そうですね。ほぼ終わりみたいですね」


「…………」

「…………」



黙り込む陽きゅんにあたしもつられて黙り込む。


そりゃショックだよね。


陽からしてみたら、喧嘩する気満々だったのに、来たら終わってました、なんて最早気の毒としか言いようがない。


っていうかさ、あたしだって同じようなもんだよ?


黒烏の総長男やる気満々だったのにさ。

その肝心の男が見当たらないんだもん。


アイツ逃げたのかな?

それとももう十夜達にやられちゃった?