そして、今に至る。



「って言うかさー、何で十二時過ぎてからなの!?今から行ったら何時に帰ってくるのよー!」



苛立ちが増しすぎて、怒りの矛先がテーブルへと向かう。



確か、あたし達が帰ってきたのは十一時前だった筈。


それなのに、皆が揃ってるにも関わらず、十夜達は十二時前まで動こうとはしなかった。


ちゃっかりと後を着けさせていたから黒烏の溜まり場はちゃんと把握してた筈なのに。


それなのに何で?




「凛音、俺等は十二時を回らないと喧嘩出来ないんだ」


「……は?」


喧嘩出来ない?ってどういう事?


「あー、違ぇな。喧嘩しないんだ」


「喧嘩しない?なんで?」


「今日は……ってもう昨日か。昨日は鳳皇の誕生日だっただろ?

俺達は“誕生日”と“初代の命日”は喧嘩しない事にしてるんだ」


「えっ、そうなの?」



それ、初耳なんですけど。



「“鳳皇を創ったこの日だけは争い事をしない”。それは二代目の頃から引き継がれてる事なんだって」


「へー」



……あぁ、なるほど。



「だから十夜達、黒烏に手を出さなかったんだ」



煌と彼方が手を出さなかったのも、敵が少人数なのにその場で喧嘩をしなかったのも何でなのかなって不思議に思ってたけど、そういう理由があったんだ。


まぁ、そんな理由があるのなら遅い時間でも仕方ないよね。

だって、あたしでもそうするだろうし。


でも。


「やっぱりあたしも一緒に行きたかったー!」


それはそれ。コレはコレ、だ。

不満は消えてない。



「俺も行きたかったし」


あたしにつられて不満を洩らす陽に、あるナイスな考えが脳裏に浮かんだ。


……むふ。

いい事思いついちゃった。