「彼方」
「……あぁ。十夜達だろうな」
あたし達が入ってきた入り口のちょうど反対側。
そこに停車したのは見慣れた高級車で。
入り口から広場までは少し距離があるせいか、黒烏の連中は十夜達が来た事に気が付いていない。
けど、あっちにはさっき二手に分かれたバイクが居るから気付かれるのは時間の問題だ。
「彼方、あたし達が出て行かなきゃ十夜達がやられる」
「だな。よっしゃアイツ等ん所へ行くぞ」
「うん!……けど、どうやって?」
「広場を突っ切る」
広場を突っ切るって……。
「デンジャラスですねー。でもまぁ仕方ないよね」
それしか道無さそうだし。
「りっちゃんに怪我はさせねぇから」
「……ありがと。気持ちだけ受け取っておく。言ったでしょ?あたし、こう見えても強いんだから!」
スクッと立ち上がって、シュッシュッとシャドーボクシング。
「……ったく。じゃあお手並み拝見といきますか!」
「まかせろ!」
コツンと拳を合わせて、いざ出陣。
彼方を先頭に広場目掛けて走り出す。
「居たぞ!捕まえろ!!」
広場に飛び出してすぐに見つかったあたし達は、あっという間にターゲットに。
けど、そう簡単に捕まるあたしではありません。
「りっちゃん!!」
二人を相手にしている彼方が「危ない!」と声を上げる。
それを耳で捉えながらしゃがんだあたしは、右足一本で回転し、真後ろから迫り来る男に体当たりをかました。
男は下から攻撃されるとは思っていなかったのか、どうする事も出来ないまま真後ろにいた味方を巻き込み、仰向けに倒れていく。
「凛音!!」


