振り返ると、さっきの右折で撒いた筈の黒烏が迫ってきていて。
直ぐ様彼方がエンジンをかけてアクセルを捻った。
早く此処から動かないと捕まってしまう!
「取り敢えず公園に入ろう!」
そう言うや否や発進させた彼方は、持ち前のバイクテクを発揮して公園の真ん中を突っ切った。
公園の中央付近まで行くと、道を外れ、公衆トイレの前で停止。
素早くエンジンを切り、あたしを降ろしてバイクを押していく。
「りっちゃん、先にトイレの後ろに隠れて!」
「分かった!」
彼方の指示に従い、トイレの後ろに身を潜めて黒烏が過ぎ去るのを待つ。
「……っ、来た!」
バイクを隠すのが早いか、黒烏が現れたのが早いか。
微妙な差でピンチを切り抜けたあたし達。
だけど、安心なんてしていられない。
バイクに乗り換えたらしい赤髪の男が下っ端達にあたし達を探せと指示を出している。
広場に留まるバイクと、そのまま通り過ぎていくバイク。
どうやら奴等は分かれて探すつもりらしい。
どうしよう。こんな見つかりやすい所にいたらすぐ見つかってしまう。
「……りっちゃん」
離れないようにとあたしの肩を引き寄せる彼方にキュッと下唇を噛み締める。
「りっちゃんは絶対護るから」
そう彼方が発した時だった。
あたし達の真後ろを物凄い勢いで通りすぎていく一台の車。
その荒々しいエンジン音に、あたしと彼方は同時に振り返った。
けれど、真後ろには木が生い茂っていてよく見えない。
「もしかして……」
十夜達?
絶対にそうだ。
だって、あんな運転する人そうそう居ないし。


