大通りに出ると、バイクのエンジン音はするけど黒烏の姿は何処にも見えない。
「陽達、上手く引き付けてるみたいだね」
「みたいだな。陽達には悪ぃけど囮作戦大成功だな」
「……陽達大丈夫かなぁ?」
いくらバイクテクがあると言ってもやっぱり心配だよ……。
そんなにバイクテクがあるようには見えないし。
「……りっちゃん、今考えてる事本人には言うなよ」
「ん?」
あたし、何も言ってないけど。
「顔に書いてある」
「……マジか。なんて便利な顔なんだ」
「いや、違うだろ」
「む」
って、そんな事どうでも良くて。
「音、近くない?」
さっきからエンジン音は聞こえてたけど、それは陽達を追いかけてるからだと思ってた訳で。
でも、その音が何となく自分達の方へと近付いて来てるような気がする。
「……気のせい?」
「……じゃねぇだろうな」
「マジか」
って事は近くに黒烏が居るって事?
「彼方」
どうする?
そう聞こうと思っただった時だった。
数十メートル先の角から左折してきたのは数台のバイク。
「ちょ、彼方!あれ黒烏じゃないの!?」
バイクが何台もってあんまり無いでしょ!
「イテッ!りっちゃん痛いって!」
バシバシお腹を叩くあたしに彼方が“痛い”を連呼してるけどそれどころじゃない。
この状況、どうしたらいいの!?
「早く逃げて!!」
このままじゃ十夜達と合流する前に捕まってしまう!


