急いで通話ボタンをスライドし、スピーカーホンにする。
『もしもし!?煌!?助けて!!』
「凛音!!」
さっきまで涼しい顔をしていた十夜が、凛音の悲痛な声を聞いて一瞬で表情を崩した。
『十夜!?』
「凛音!どういう事だ!!」
声を荒らげた十夜が助手席に寄り、問いかける。
『今追われてるの!!』
「……っ」
まさか……。
「……凛音、ソイツ等が誰だか分かるか?」
より一層低くなった十夜の声色。
『赤髪!!』
「……あ?」
赤髪って誰だ?
『りっちゃん、それじゃ分かんねぇだろ?……煌、奴等は黒烏だ』
「黒烏?じゃあコイツ等も……」
『は!?もしかしてお前等も襲撃されてんのかよ!?』
「あぁ。車ボコボコにされてる」
『……ハッ、マジかよ。じゃあこれは計画されてたって事かよ』
「みたいだな」
『煌、実はな、昨日の祭りでりっちゃんが黒烏の奴と接触してたみたいでさ。その時に“近々攫いに行く”って言われたんだと』
「………チッ」
後部座席から十夜の舌打ちが聞こえ、それと同時にドンッと座席を殴る音が聞こえた。
十夜、言いたいことは分かるぜ。
俺等ともあろう者がアイツ等にいいように遊ばれてたんだからな。
けど、今の話で“確信”した。
アイツ等の狙いは“凛音”だ。
俺達に差し向けたのは捨て駒。
ただの足止めだったって訳だ。


