「彼方、陽、千暁くん、あたしがアイツ等を引き付ける。叫んだら左から回って逃げて」
男に視線を向けたまま、咄嗟に思い付いた作戦を小声で三人に伝える。
左から回るのは、アイツ等のバイクが右を向いているから。
背後から回ればすぐには動けないだろう。
チャンスは一度だけ。
失敗は許されない。
心の中でフゥと小さく深呼吸して、男を睨み付けた。
そして、スッと視線を右へ逸らした後、
「あっ!十夜の車だ!!」
右方向を指差して叫んだ。
あたしの言葉に騙され、勢いよく指差した方へと振り向く敵さん達。
その隙をつき、三人に「今だ!」と叫ぶ。
いち早く反応した彼方はアクセルを回し、発進。
それなのに、陽と千暁くんは止まったままで。
振り返れば、二人共一緒になって騙されていた。
コラー!アンタ達まで引っ掛かってどうすんの!!
「陽!千暁くん!早く!」
「えっ!?あっ!!」
先に発進したあたし達を見てやった作戦に気付いたらしい二人。
もう!そういうお馬鹿な陽は可愛いけど、今は勘弁してよ!


