ニタリと笑いながら前に出てきたのは、見知らぬ男。
こんな奴知らない。
そう思った時だった。
前方に現れた一台の黒塗りの車に眉を寄せた。
明らかに奴等側だと分かるその車にあたし達は動揺を隠せない。
そんな時、後部座席の窓が開き、一人の男が姿を現した。
「……よぉ。昨日ぶりだなぁ?姐さん?」
「……っ、アンタ!」
車に乗っていたのは、昨日、夏祭りで会ったあの赤髪の男。
と言うことは、コイツ等は黒烏!?
「りっちゃん、昨日って何だよ!」
「……あ」
勢いよく振り返ってきた三人を見て気付いた。
そういえば、あたし昨日の事誰にも話してなかったかも。
「ごめん!昨日お祭りで会ったの!」
「マジかよ……」
「凛音、お前なぁ……」
「ごめん!」
昨日はそれどころじゃなかったから……。
「ホントごめん。詳しくは後で話すから」
そう言って、赤髪の男を思いっきり睨み付ける。
だけど、馬鹿男はあたしの睨みに全く動じる様子はなく、寧ろ楽しそうに笑っている。
「──近々攫いに行くって言っただろ?」
「……っ」
笑みを深めた男にギリッと歯軋りをして、ハッと鼻で笑う。
「あたしも言ったよね?次来たらボコボコにしてやるって」
「凛音……」
「……りっちゃん」
思いの外冷たい声出て、隣に居た三人が驚いた顔であたしを見た。


