「彼方」
「……あぁ。ヤベェな。狙いは俺等か?それとも通りすがりか?」
チラッと後方を見て様子を窺う彼方。
「分かんねぇ。取り敢えず曲がって様子見ようぜ」
「了解」
そう決めた三人は次の信号で左折し、建物の陰に隠れて息を潜めた。
「彼方……」
「りっちゃん、怖い思いさせてごめんな」
申し訳なさそうに謝る彼方に「ううん、大丈夫」と首を振って、三人の後ろに隠れる。
と、その時。
「彼方!アイツ等こっちに曲がって来た!取り敢えず此処から逃げるぞ!」
大通りを見ていた陽がそう声を上げてバイクに跨った。
「……チッ」
彼方と千暁くんもすぐにエンジンをかけて出発する準備に取り掛かる。
「りっちゃん、しっかり掴まってろ!」
「うん!」
素早くバイクに乗せて貰い、発進。
──けれど、一歩遅かった。
「見ぃーつけた」
前方から現れたのは数台のバイク。
「……ッ、クソッ……!」
一瞬の内に進路を塞がれ、その場で急停止。
そうこうしている内に背後にも数十台のバイクが現れ、挟まれてしまった。
コイツ等は一体?
身体に巻き付けていた腕をゆっくりと離し、前後の男達の顔を確認する。
追ってきてる奴等はもしかしたら中田なんじゃないかと思っていたけど、どうやら違うらしい。
「お、姫さん見ーっけ」


