「早く帰って食べよー」
バイクの前へやってきて、「ん」と彼方に向かって両手を上げると、
「りっちゃん、“抱っこして?”って言ってみて」
彼方から面倒臭い言葉が落ちてきた。
「はぁぁぁ?」
「はい。乗せます」
ギロッと睨みを利かせると、すんなり引いた彼方くん。
……ったく、余計な事言わずに乗せてよね。
バイクに乗せて貰い、彼方の身体に腕を回してスタンバイOK。
「よっしゃ帰るぞーー!」
陽の陽気な掛け声でバイクがゆっくりと発進した。
「うひょー!風気持ち良いー!やっぱバイクはサイコー!!」
車では絶対感じられない感覚に、あたしのテンションは最高潮に。
やっぱ車だよねー。この駆け抜けていく感じがたまんない。
「凛音ー!今度俺の後ろも乗れよ!」
「やった!乗る乗る!あ、でも暴走乗れ時は駄目っぽいからまた学校の帰りにでも乗せてー!」
「いつでもいいぜー!」
「わーい、楽しみ!」
……って、ん?
走りながらそんな他愛もない会話をしている時だった。
不意に耳に届いたのは聞き知った音。
……これってエンジン音?
耳を澄ませば、微かに聞こえるバイクのエンジン音。
音量から察して、数台ではない。多分十台は超えている筈。
……ヤバイな。
そう思ったのはあたしだけじゃないらしく。
陽と千暁くんを見れば、二人も後方から迫るその存在に気付いているようだった。


