「──凛音」
「……え?」
十夜に呼ばれて、ハッと意識が戻る。
「あ、もう終わったの?」
手を繋いだまま後ろへ下がると、十夜が車内に戻ってきた。
座った事を確認した壱さんが窓を閉めて車を発進させる。
「あーあ、俺も外で礼言いたかったなー」
「煌、毎年それ言ってるよね」
大袈裟に溜め息を吐き出した煌にクスクス笑う壱さん。
「来年はバイクに乗ったら?」
「……俺には仕事がある」
「来年は凛音ちゃんもいるし、大丈夫だよ」
へ?あたし?
「……コイツはアテになんねぇ」
はぁ?
ハッと小馬鹿にするように鼻で笑った煌にカチンときて、後ろからベシッと頭を叩く。
「イテッ。ホントの事だろうが」
「何言ってんのよ!煌よりアテになるし!」
「はぁ?俺の方がアテになるに決まってんだろ」
「ちょ、ちょっと二人共、喧嘩はやめなよ」
「──煌。凛音」
睨み合うあたし達を静めたのは壱さんではなく十夜で。
チラリ、横目で様子を窺えば、さっきの笑顔なんかどこへ行ったのやら。
鋭い視線がグサグサと突き刺さってくる。
何であたしだけ!?
悪いのは煌じゃん!


