「十夜、もう着くよ」
「……あぁ」
壱さんの言葉に返事をした十夜は右後部座席の窓を開け、握っていたあたしの手をグイッと引っ張ってきた。
「わっ!ちょっ!なに!?」
いきなり引っ張られて、横座りのまま十夜の方へと倒れ込むあたし。
ちょ、腰が……。
グキッって言ったし!
「凛音、こっちに座ってろ」
え?こっち?
十夜は手を離したかと思うと、さっきあたしと煌がしていたように窓から身を乗り出して窓枠に座った。
そしてその後、もう一度「ん」と左手を差し出してきた。
素直にその手を握ると、突然キャーッと地響きのような歓声が響いてビクッと飛び上がる。
び、ビックリしたぁ……。
何事かと窓の隙間から外を見ると、外には歩道が見えないほど沢山の人が居て。
十夜に向かって何か叫びながら手を振っていた。
ちょ、何?凄い人の数なんだけど。
振り返って反対側の歩道も見れば、やはり同じように凄い数の人が居て、ただただ呆然。
「俺等人気者だから」
「………」
……自分で言うなよ。
後頭部で両手を組み、偉そうにふんぞり返っている煌に冷めた視線を送る。


