“初代”の事を話す壱さんは凄く哀しそうで、とてもじゃないけど“初代”と会った事がないとは思えなかった。
そんな風に感じるのは、きっと先代から“初代”の“心”を受け継いだからだろう。
“初代”への想いを、“鳳皇”への想いを先代達から受け継いできたから。
「初代総長さん、喜んでるね。皆に愛して貰えて。鳳皇を残して貰えて」
「……凛音ちゃん」
バックミラー越しで目が合った壱さんは、あたしの言葉に少しだけ目を見開いた。
そんな壱さんににっこりと微笑む。
「皆を見てると分かるよ。どれだけ“初代”を尊敬しているか。どれだけ“鳳皇”を愛してて大切にしているか。言葉にしなくても分かる」
そっと窓に手をあてて笑顔で走っているメンバー達を見る。
走っている皆の笑顔は普段の何十倍もキラキラしていて、本当に鳳皇が好きなんだって事が分かる。
「……凛音ちゃん、ありがとう」
嬉しそうに微笑んだ壱さんに首を振って笑い返すと、そっと右手が何かに包まれた。
視線を落とすと、あたしの手を包んでいたのは十夜の大きな手で。
視線を上げれば、十夜はあたしじゃなく窓の外を見ていた。


