「煌、何でバンダナ巻いてんの?」
「顔がバレないようにする為だよ」
「顔がバレないようにする為?」
どういうこと?
「ちょ、煌!?」
どういう意味なのか聞こうとしたら、煌が突然、助手席のグラブレール(天井にある手すりみたいな物)を掴んで窓から身を乗り出した。
窓枠に座った煌はバイクに乗ったメンバーに喋り掛け、手を振っている。
え、何それ。超楽しそうなんですけど!
「煌!」
後部座席の窓を開けて煌を呼べば、グラブレールを掴んでいる腕を伸ばして「何だよ」と車内を覗き込んでくる煌。
「一人だけズルい!あたしもする!」
「……はぁ?」
何言ってんだ的な顔であたしを見る煌に「やりたいやりたい!」と座席を叩いて訴える。
すると。
「駄目だ」
返事をしたのは煌ではなく隣にいる十夜で。
「何で!?」
煌だけズルい!
こんな楽しそうな事しないとか有り得ないし!
「顔バレるし危ねぇ」
「大丈夫!煌みたいに顔隠すから!ね?お願い!」
「………」
「おーねーがーいー」
「……駄目だ」
「えー!」
十夜は“お願い”という言葉に弱いから許してくれると思ったのに。
なんで今日に限って許してくれないの!?


