ふと十夜が気になって、肩越しにチラッと振り返ってみる。
すると、十夜はいつもと同じ様にお腹の上で腕を組んでいて、真っ直ぐ前方を見据えていた。
車の前を進むメンバーを見ているその目はいつもより穏やかで心なしか楽しそうに見える。
感情を表に出そうとしない十夜が何だか可愛くて。
「ふふっ」
思わず声に出して笑ってしまった。
その声が聞こえていたのか、怪訝な顔で振り向いてきた十夜さん。
「十夜、楽しいね!」
目が合った十夜にそう言うと、十夜は「そうだな」と少しだけ口角を上げて微笑んだ。
……十夜さん、可愛いすぎです。
不覚にも十夜の笑顔にやられてしまったあたしは、赤くなった頬を隠す為に再び窓へとへばりつく。
……なんかさ、最近の十夜変じゃない?
表情の変化が出てきたっていうのもあるけど、何となく優しいような気がする。
いや、意地悪な時は意地悪なんだけどさ。
うーん……。
外の景色を眺めながらそんな事を考えていると、突然ぶわぁっと顔にかかった温かい風。
「びっくりしたぁ……煌、何してんの?」
風でなびく髪の毛を必死で押さえながら助手席を覗き込むと、煌が何やらゴソゴソしていた。


