「あんまはしゃぎすぎんなよ」
「分かってますー」
あたしの頭をコツンと小突きにきた十夜は右後部座席の窓を開けると、そこからおもむろに手を出した。
そして、小さく一振りする。
「わっ!」
すると、バイクのライトが一斉に灯され、フルスモークでハッキリと見えなかった倉庫内が露になった。
まるで電気を点けているかの様に明るくなった倉庫内。
「すっごーい!」
そこには無数のバイクで埋め尽くされていて、あたしのテンションが更に上がった。
「皆ー!気をつけてー!また後でねー!」
座席に膝を立ててギリギリまで十夜に近付き、窓から頭を突き出して大声で叫ぶ。
「りっちゃんまた後でな!」
「凛音ー!まーたーなー!」
「凛音ちゃんまた後でー!」
バイクに跨がったまま手を振ってくれる皆に手を振り返して、車内に引っ込む。
「満足したか?」
「した!十夜行こう!出発出発!」
「分かったからこっちに来い。危ねぇぞ」
盛大に溜め息をつかれ、腰をグイッと引き寄せられた。
「わっ!」
身体が傾き、座席にぽすんと尻餅をつく。
「大人しく座ってろ」
そう言った十夜は、フッと笑ってもう一度窓から右手を出し、今度は大きく振り下ろした。
十夜が手を振り下ろしたのと同時にけたたましいバイク音が倉庫中に鳴り響き、一斉にバイクが走り出す。


