「いつまで乗ってんだよ」

「うわっ!」



仏頂面で寄って来た十夜に背後からひょいっと持ち上げられて、そのまま抱き抱えられる。



「と、十夜!あたし一人で歩けるから!」


「お前は一人にするとほっつき歩くだろうが」



……うっ。

それを言われたら何も言えない。





「凛音ちゃん、また後でね!」

「頑張れ~」


「ちょ、勇介くん!」



茶化しにくる勇介くんに大きく腕を交差させて余計な事を言うなアピール。


ったくもう!

十夜に聞かれたらどうするの!



皆にバイバイと手を振って、抱っこされたままの状態でリビングへと戻る。







「凛音ちゃんおかえり~」


「おかえりなさい、凛音ちゃん」


「……あぅ。眩しい」



あたしに気付いた壱さんと零くんが同時に微笑みかけてくれて、凛音ちゃんノックアウト寸前。


ヤバイ。あの二人が揃うとあたしの心臓が持たないんですけど。



……って。



「特攻服!?」


麗しいお顔から視線を下へと滑らせれば、飛び込んできたのはさっきまで着ていなかった漆黒の特攻服で。


そのお顔とは対照的な服装に、またもやノックダウン。


零くん、そのギャップ最高です。