「勇介くん!これでどうだー!」


リング中央で勇介くんに新技を仕掛ける。


「り、凛音ちゃん、痛い痛い痛い!けど良いー!」


苦痛で顔が歪んでいるにも関わらず若干嬉しそうな勇介くん。


そんな勇介くんを見て、「羨ましいぞ勇介ー!」、「凛音ちゃん俺にもー!」という声がリング外から聞こえてくる。



勇介くん、痛いのに寝技かけられたいなんて。


そうか。マゾなのか。


それなら仕方ない。


じゃあお言葉に甘えて………。



「じゃあ、これでどうだぁー!」



体勢を変えて思いっきり腕を引っ張れば、



「いってぇー!凛音ちゃんもうちょっと!」



なんと、勇介くんから更に強くしろとのご要望が。



「えぇ!?まだ強く!?勇介くんやるねっ!」


「え?やっ……、凛音ちゃ、違……っていてぇー!!」



もう、勇介くんったらそんなに喜んじゃって。


ふふっと笑いながら引っ張っていると……。



──ゴンッ!



「いだっ!!」



脳天に重い一撃が落ちてきた。



「テメェは何してんだよ」



同時に響いたのは、恐ろしい悪魔の声。


その声にビクッと飛び上がって手の力が抜ける。



「いてっ」



急に離した事によってドスンと仰向けに倒れた勇介くん。



「ゆ、勇介くん……」



顔面蒼白の勇介くんに助けを求めれば、勇介くんはフルフルと頭を振って拒否。


そんなぁ……。