「え?」


それはまさに一瞬の出来事で。


ちょ、よりにもよって何でこんな体勢なの!?



「りっちゃん、抱きついてまでアイス食べたかったんだ?満足したら後で食わせてやるからね」



されるがままになっていたあたしの耳元で、色気たっぷりの声色でそう囁く変態彼方。


っていうか、耳に息吹きかけるなー!



「彼方、はな──」



ガチャ。



「………え」


「あ」


「……あーあ」





「………」



……うそん。


何でこのタイミングで帰ってくるの!?


彼方に応戦しようとした時、タイミング良く十夜と陽と壱さんが登場。


というか、帰ってきた。




「………」


な、何だろう。この気まずい空気。


陽だけじゃなく、壱さんまでも固まっているし。


と、取り敢えず。


「おかえり!!」


右手を上げて挨拶してみた。



「………」

「………」



……や、ヤッバイ。思いっきりはずしてしまった。


続く沈黙に凛音ちゃん冷や汗。


流石に耐えれなくなったあたしは、くるりと後ろを振り返り、彼方の耳元へ顔を近付けた。



「彼方!とり敢えず離して!」



肩を叩いて早く早くと急かす。



これ以上此処に居たくないんだってば!



「……お前、馬鹿だろ」


「ん?」



呆れた顔でそう言った煌に時に首を傾げると、煌は無言で顎を合図を送ってくる。


それに導かれて振り返れば、


「何で!?」


何故か十夜の顔が修羅化としていた。



……何で十夜さんは怒っているのでしょう。