Ri.Night Ⅱ



「──凛音」


「うわっ。ビックリした」



……なんだ、十夜か。

誰かと思ったよ。



「ん」


「……え?」



不意に手渡されたのは、よく見掛ける無地の白いビニール袋で。


覗き込めば、中には買いに行こうと思っていた焼きそばが三つほど入っていた。



「十夜が買ってきてくれたの?」



ビックリして、袋と十夜を交互に見る。



「……あんま並んでなかったから」



あんま並んでなかったって……。



「……嘘つけ。結構並んでたくせに」


「えっ」



並んでたの?


ぼそりと呟いた煌の独り言に目を見開いて視線を上げると、どうやら十夜には煌の声が聞こえてなかったようで。


漆黒の瞳が、真っ直ぐあたしを見下ろしていた。



「……十夜、ありがと。嬉しい」



そう小さくお礼を言えば、フッと頬を綻ばせた十夜。


その笑顔はまるで親に褒められた子供のようで。


胸がきゅんと高鳴った。



……もしかして、あたしの機嫌が悪くなったから買いに行ってくれたの?


一人になると面倒臭い事になるって分かってるのに?



「……えへへ。焼きそば食べるの楽しみ」


「食い過ぎんなよ」



──十夜、ありがとう。凄く嬉しい。


せっかく一緒にお祭りに来れたんだ。


ギャラリーなんて気にしないで楽しまないとね。